社会ニーズの増大と歯科衛生士への期待

歯科衛生士はもともと保健所で働くために制度化されたもので、歯科衛生士法が制定されてから 50 年の歴史があります。資格を持つ人しか就業できないため結婚後や出産後の再就職にも有利であることや、医療系の資格の中では比較的取得しやすいことから、全国の歯科衛生士の就業者数は確実に増加しています。とはいえ、歯科医師数に比べると、まだまだその数は少なく、就職に関しては有望な資格であるといえます。
 医療の専門技術者としての位置づけも重視されるようになり、今日の歯科臨床は 4 handed Dentistry(歯科医師と歯科衛生士の4本の手をフルに使うという意味)と言われるほど、優れた歯科医師でも歯科衛生士の存在なしには本領を発揮できなくなっています。 歯科医師 1 人に対して2人以上の歯科衛生士が望まれていますが、就業歯科医師 8 万3500人に対して、実際に働いている歯科衛生士は約 5 万6500人で絶対数が不足しています。
 歯科衛生士の就職先は個人の歯科医院が約 90%、次いで歯科のある病院、保健所となっていますが、市町村や老人保健施設、企業など公衆衛生の分野で活躍する歯科衛生士も増えています。保健所では主に地域住民の歯の健康づくりのために、歯科保健指導を中心とした業務を行います。また、歯科衛生士養成機関へ就職することも可能です。また、
高齢化社会を迎え、「いつまでもおいしく食べる」ための歯の健康の意義が再認識され、高齢者の直接死因にもつながる嚥下性肺炎の予防のためにも、口腔ケアの重要性が指摘されるなど、高齢者福祉の領域でも重要な役割を果たすことが期待されています。