障害をもった児童が生活する現場

■知的障害児施設
 知的障害児施設に入所してくる児童には、大きく分けて2つの理由があります。
〈養護性に欠ける〉
 障害児の両親の離婚、病気、経済的困窮などの理由で、家庭が崩壊していることにより、家庭で障害児を養育することが困難である場合。
〈訓練・治療が必要〉
 子どもが障害児であるため、親がどのように養育したらよいか分からず、家庭で養育できなかったり、障害からくるさまざまな問題行動を引き起こしている場合。
 ところで、知的障害児とはどのような子どもなのでしょうか。簡単に説明することは困難ですが、たとえば、物の名前を覚えたり、計算したり、筋道を立てて物ごとを考えたり、あるいは想像したりすることは苦手で、こうした働きが年齢にともなわないことが特徴といえます。また、知的な障害があるため、長期にわたって適切な指導を必要とします。しかし、頭の働きが完全に停止してしまうことはなく、時間をかけた指導により徐々にさまざまな力を獲得していくことが可能なのです。
 そこで、こうした知的な障害をもつ児童に対する施設での処遇は、障害と発達に視点を当てた指導を基本において行われます。
〈処遇の内容〉
1.自分の身の回りのこと、たとえば着替え、排泄、食事といったことを身につける、すなわち、基本的生活習慣の習得をめざした指導
2.あそびや学習、あるいは労働といった活動を通じて人間形成を図る
3.生命活動を維持し、他の領域の活動を円滑にするための保健活動などの基本内容によって処遇されています。
 ここにおける保育士の役割は、上に示したように、生活指導、機能訓練、作業指導など、さまざまな分野にまたがっています。そしてさらに、こうした活動を通して、個別的な問題や内面的な問題を解決していく役割を担っています。また、一方では日常的な生活環境を整えること、すなわち、住まいの環境、寝具、被服、消毒などの業務も重要な仕事といえます。